ヘルパーステーションえにし > 介護員こぼれ話
生活援助として行う「食事作り」では、ご利用者様の身体の状態に合わせた硬さや形状、好みの味覚に合わせ、見た目にも美しいように調理し、後片付けを含めて45分か60分で行っています。
ご利用者様の中には、糖尿病や腎臓病、心臓病の方がいらっしゃいますので、その場合は、カロリーや塩分、カリウム、タンパク質などの量の制約を守ることも加わってきます。えにしの介護員としては、それらの条件をクリアするのは当然で、ご利用者様にご満足いただけるようにご提供することを大切にしています。
しかし、満足感というのは、メニュー、味付け、見た目の美しさ以外に、口の中の状態や雰囲気にも大きく左右されるものです。
例えば、常食を食べられる方というのは、自分の歯が揃っている、あるいは、口にピッタリ合った義歯がある方に限られます。生活援助の現場で出会うご利用者様は、義歯はあっても口に合わない方、すり減った義歯を大切に使い続けている方、義歯が入れられないほど口の状態が変化して歯茎で食事をとる方などさまざまです。そして、食事作りの間の介護員との会話を楽しみたい方もいらっしゃいます。
介護員は、それらのすべてを可能な限り把握して、時間内に最大限の満足いただけるようにサービスを提供しています。
排泄介助を受けることが誰にとっても抵抗感のあるもので、生きていくためにやむを得ず他人に委ねていることだと考えると、介護員が行う排泄ケアは、ご利用者様の意向に沿い、困りごとを解決するという目標で行うことが重要です。
一口にオムツ交換といっても、在宅介護と施設介護では同じではありません。在宅介護の現場で使われているオムツは、施設介護で使われているものよりも吸水量や皮膚刺激性の点で劣るものが多いのが実情です。それに加えて、交換回数に制約があり、高度な介護技術が要求されます。
例えば、高齢の夫婦二人暮らしで腰痛などのため気力も萎えオムツを使用しているある男性のご利用者様の場合です。
この方は、特に夜間の尿量が多く、オムツを何枚も重ねた状態でサービス開始となりました。えにしの介護員で協力して、まず、尿量が多い原因が飲水量にあること、次に、排尿パターンを知ることで必要な尿取りパットの枚数を推測しました。
また、ご本人様の望む排泄ケアは、訪問回数を増やすことなく、現在のオムツ代よりも高くならないこと、尿で衣類が濡れて着替えをすることは苦痛であるが、オムツの中に止まっているのは構わないことも分かってきました。
そこでステーション全体で、オムツや尿取りパットによって通気性を損なうことなく、尿漏れがないといった機能性も満たした必要最小限の枚数で、しかも、コストアップにすることがない、という目標を立てました。
目標を達成するために、男性器の形状と角度、姿勢や使用したパッドなどの状態をよく観察して当て方やパットの選択について工夫と考察を重ねました。特に夜間の尿量は、1050mLはあると推測されたので、通常のパット(長時間用の最大吸収量は900mL)では漏れてしまうため困難を極めましたが、最終的に、両面吸収タイプのパットとフラットタイプ1枚を片足に巻くことで目標を達成しました。
それだけでなく、ケアに入っている訪問看護師からも称賛され、ちょっと気恥ずかしさはありますが、よい介護ができたようです。